教授挨拶

地域に根ざし世界に誇れる教室を目指して

循環器内科教授 佐藤 明

令和3年10月1日付で山梨大学循環器内科教授を拝命致しました佐藤明と申します。山梨大学内科学講座が臓器別に再編されるのに伴い、令和3年4月より第二内科講座が循環器内科学と呼吸器内科学に再編されました。第二内科は、初代田村康二教授、二代目久木山清貴教授のもとで素晴らしい発展をとげ、山梨県および日本の循環器医療に貢献して参りました。これまで山梨県の医療を支えて来られた循環器内科教室員と共に山梨大学及び関連病院の更なる活性化を図り、地域医療に貢献できる多くの若手医師を育成し、山梨県医療の向上に尽力したいと思います。

診療に関して、冠動脈カテーテル治療、構造的心疾患カテーテル治療、不整脈アブレーション治療、集学的な心不全治療など、すべての循環器分野で最高レベルの診療体制をとり、患者様に安心・安全の医療を提供いたします。また循環器病の予防に取り組むこと等により国民の健康寿命の延伸等を図り、あわせて医療および介護に係る負担の軽減に資する施策を行なっていきます。山梨大学附属病院を地域医療の中核病院として発展させ、「誰からも信頼される人材の養成」、「学問的に世界に評価される研究」の二つの目標を両輪とし、高度な先進医療の実践及び先端医療の開発を推進します。

研究に関して、これまで臨床医の立場から「急性心筋梗塞後の生命予後」、「冠動脈不安定プラークの同定」を主要テーマに急性心筋梗塞の診断・治療、虚血性心疾患の心臓画像診断を中心に、その成果を日常臨床に還元すべく研究活動を行ってきました。さらに人への臨床応用を目指し、心不全に対する新たな治療として「自家心臓線維芽細胞による心不全患者に対する再生医療のfirst-in-human臨床試験」を行なっています。循環器病学の研究は、虚血性心疾患に留まらず、心不全、不整脈、動脈硬化などを総合的に進めていく必要があります。山梨大学における高い基礎・臨床医学研究力の発展維持と共に、関連病院と共同し診療科を横断した臨床研究データベースの構築と医師主導型臨床研究・治験の推進、心筋再生医療などのトランスレーショナルリサーチを推進し、リサーチマインドに富んだ若手医師の育成を行い、世界に通用する総合的な循環器研究施設に発展させていく所存です。

教育に関して、教育は情熱をもって自分の専門分野の魅力と最先端の知を伝えることで、知的好奇心を活性化させ、探究心・自己学習能力・想像力を育成することが重要と考えます。学生は臨床の実力がつく病院での研修を強く望んでおり、循環器内科の臨床の充実が必須です。臨床の充実によって初めて、臨床能力・研究能力の高い研修医や大学院生が育ち、このような環境で教育された学生が今後の山梨大学の循環器内科教室を支えていくことになるものと考えます。臨床系内科学教室に求められる臨床と直結した全人的教育を行うことにより、「患者本位」の質の高い医療を提供できる医師の育成、自ら学ぶ力を持った良質な医師の育成を目的に、教育を充実させて行きます。医学生・大学院生・研修医、すべての教育に重きを置いて、各医師が臨床医、研究者としての実力を備えるよう各個人の能力を高める教育を充実させたいと思います。

このように山梨大学がアクティビティーの高さでさらに多くの若い医師が集う学び舎になることに尽力し、本学が地域医療の中心的存在としての役割を果たし、かつ新たな臨床治療の開発という大学本来の職務を果たす原動力になっていくためのあらゆる方策を推進していきます。循環器内科学に関して、さらに研究・経験を積み、一層の国際交流を果たすことにより、山梨大学循環器内科を世界の心臓治療センターとして成長させて行きたいと思っております。