当科は甲府盆地南西部を主な診療圏としますが、診断や治療の難しい呼吸器疾患症例が全県から紹介されてきます。したがって、当科において外来診療や入院診療を行うことによりcommonな疾患だけでなく、難治性疾患、希少疾患を含めた幅広い疾患を経験することができます。日常診療において遭遇する機会の多いcommonな疾患の診療は、まれな疾患を熟知して初めて適切に行うことができるものです。したがって、呼吸器疾患の基本的な診療能力のトレーニングの場として当科は適切な場所である自負しています。
当科における後期研修は形式上大きく2つに分かれます。即ち、①内科のsubspeciality として呼吸器内科を選択すると決め、呼吸器内科を中心にローテート研修する場合(呼吸器内科subspeciality重点コース)と、②内科の他領域をsubspecialityとして決めている、あるいは内科subspecialityを決めておらず、ローテート研修の一つとして呼吸器内科の研修を行う場合(ローテーションコース)です。①の場合は原則として研修開始時に当科に入局していただきます。また、subspeciality研修を行うのは1年間か2年間か、3年間のうちのどの時期に行うのか、研修場所は当科か関連施設かなど、様々な選択肢がありますが、専修医本人の希望や地域の呼吸器内科医の充足状況を考慮して個別に決めてゆく予定です。
研修内容は①、②いずれの場合も大きな違いはなく、専修医は診療チームに配属され、主担当医として入院患者の診療にあたります。気管支鏡などの検査にも参加します。2年目以降の方は外来診療にもあたります。週間スケジュールを下に示します。症例報告や臨床研究などは①の場合は内科学会、呼吸器学会などで、②の場合は内科学会を中心として行うこととなります。
月 | 火 | 水 | 木 | 金 | 土/日 | |
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午前 | セミナー | 週末 日当直 (月1回) |
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チームカンファレンス | チームカンファレンス | チームカンファレンス | チームカンファレンス | チームカンファレンス | ||
病棟(外来) | 病棟 | 気管支鏡検査 | 病棟(外来) | 病棟(外来) | ||
午後 | 気管支鏡検査 | 総回診 | 病棟 | 病棟 | 病棟 | |
病棟 | 気管支鏡検討会 | |||||
症例検討会 | 病理カンファレンス | 合同カンファレンス | ||||
夜間 | 当直(週1回) |
臨床医学、基礎医学、社会医学の幅広い知識、および、初期研修で習得した技能の上に立ち、呼吸器系疾患を持った患者に対処してその問題を全人的見地から解決できる内科医となるために、指導医の下で呼吸器疾患患者の診療を行いながらさらに必要とされる知識と技能を修得してその統合を行い、自立した診療を行うことができる。
初期研修で身に着けた知識と技能に加えて、次の点を習得する。
(1)病歴聴取
患者との人間関係構築の第一歩であることを自覚しつつ、可能性のある疾患を想定しそれを支持あるいは否定する情報を集めることを繰り返しながら鑑別診断を絞り込むような問診ができる。
(2)身体所見
呼吸器系の身体所見はいうまでもなく、呼吸器疾患により生じうる胸部以外の身体所見にも注目し、これを病態理解と鑑別診断に役立てることができる。
(3)検査計画
効率よくかつ医療経済にも配慮した検査計画を立てることができる。
(4)画像検査
胸部レントゲン、胸部CTなどの画像検査の所見から、病理像を想起しつつ病態を推測して鑑別診断を絞ることができる。
(5)呼吸機能検査
スパイロメトリ、精密肺機能データを解釈し、また、自ら血液ガス分析、呼気一酸化窒素測定、6分間歩行試験等を行い、その結果を病態理解と鑑別診断に役立てることができる。
(6)血液検査、細菌学的検査
血液検査、細菌学的検査の結果を解釈し、それを病態理解と鑑別診断に役立てることができる。
(7)気管支鏡検査
超音波内視鏡を含めた気管支鏡検査を指導医の下で自ら行うことができる。ステント挿入、エタノール注入などの気道インターベンションを助手として補助できる。これらの検査や処置の適応を判断することができ、また、検査中の緊急事態に対処できる。
(8)その他の手技
胸腔穿刺、胸腔ドレナージ、酸素療法、人工呼吸器(侵襲的、非侵襲的)使用を指導医のもとで自ら行うことができる。また、これらの検査や処置の適応を判断し、期待される効果が得られない場合にも対処できる。
(9)疾患理解
文献などを通じ、当該領域の最新の知見を吸収し、また、普段接することの少ない希少疾患に理解を深めることができる。
(10)社会背景を含めた患者の全人的理解
呼吸器領域以外の医学的問題について、他科へのコンサルテーションなどを活用して可能な限り対処できる。また、呼吸器疾患と関連する患者の社会的背景にも気を配り、必要な場合はこれに対処できる。
(11)学会発表/論文執筆
臨床研修中は経験した症例の症例報告を学会発表あるいは論文執筆の形で行うことができる。また、可能であれば臨床研究を行ってもよい。
呼吸器内科subspeciality重点コース修了者は大学病院あるいは関連の市中病院などに呼吸器内科のスタッフとして勤務することが可能です。また、専門研修のために山梨県外の専門病院の勤務を希望する方には、これを支援します。呼吸器疾患に関する基礎的臨床的研究を志向する方には、国内外の研究施設、専門病院への海外/国内留学を支援します。なお、呼吸器学会専門医の申請資格は、認定内科医取得後3年以上の学会歴、同3年以上の認定施設での研修歴、臨床呼吸機能講習会の受講歴です。
山梨県立中央病院 呼吸器内科 日本呼吸器学会認定施設
http://www.ych.pref.yamanashi.jp/shinryo/naika_kokyuki.html
市立甲府病院 呼吸器内科 日本呼吸器学会認定施設
http://www.city-kofu-hp.jp/shinryou/shinryouka/naika.html#kokyuki
山梨厚生病院 呼吸器内科 日本呼吸器学会認定施設
http://www.kosei.jp/medica/respiratory